「"BLUE BASH!" タイトルと違い、堅実で律儀なケニーらしい好演奏が印象的です。でも、このアルバム、音は乾いていますね〜。これは盤面のせいかも。というように、ノイジーな周辺情報に関わらず、正統なジャズがうれしい今夜の一枚。」on twitter
このアルバムに手が伸びるのは、ケニー・バレルが好きだからというだけではなく、Soft Winds が収録されているからという理由もあります。
Soft Winds は Benny Goodman が1939年に発表した曲です。その当時、父と母は出会ってもいませんでしたが、その後、父は母と知り合い、この曲が収録されたレコードを買いました。それはきっと、二人がとても若い頃の流行だったのでしょう。よほど子どもの頃でなければ、50年近くものあいだ音楽の記憶が脳裏に刻まれるとは思えませんから。その幼少の経験のせいで家で鳴る Soft Winds のメロディーはぼくの脳裏にしっかりと定着し、いまでもこの曲を聴くたびに子どものころの両親や家の記憶が蘇ります。
その記憶は、部屋の位置や構成、四角くて小さな窓、丸くて厚みのあるテーブル、その上にはレースが敷かれガラスが乗せてあったことなど、けっこう細部におよびます。おそらくこの現象は、演奏者が誰であろうと、ぼくの頭のなかで記憶の構造が壊れるまで再生され続けるのだろうと思います。